
日本代表柔道監督であり柔道復活へ導いた9年間を終え、伝説の柔道家井上康生さんが任期満了に伴い監督退任を表明されました。
背景にあるのは全日本柔道連盟(全柔連)の規定で代表監督は1期4年、最長8年と定められているところにあります。(今回はオリンピックが1年延期され9年となります)
東京オリンピック2020では、柔道日本男子は史上最多5個の金メダルを獲得し改めて名将として名前が刻まれることになりました。
そこで、井上康生さんが伝説と言われるエピソードをお伝えしていきます。
また、井上康生さんがご勇退後は誰が次期監督になるのでしょうか?
次期監督最有力と言われているのが、2004年アテネオリンピック柔道男子100㎏級金メダリストの鈴木桂治さんなのでしょうか。
そこで、鈴木桂治さんが後任監督最有力と言われる理由をお伝えいたします。
井上康生監督のプロフィール
井上康生監督がどんな人なのかご紹介します。
- 名前:井上康生(いのうえこうせい)
- 生年月日:1978年5月15日
- 年齢:43歳(2021年時点)
- 身長:183cm
- 血液型:O型
- 出身地:宮崎県宮崎市
- 段位:6段
- 得意技:内股、大内刈り、大外刈り、背負い投げ
- 階級:男子100㎏級
- 2013年国際柔道連盟の殿堂入りを果たす
- 中学:宮崎市立大宮中学校
- 高校:東海大学付属相模高等学校
- 大学:東海大学体育学部武道学科
- 職業:柔道指導者、東海大学教授、2012年11月~2021年まで柔道男子日本代表監督
- 家族:妻はモデル・タレントの東原亜紀さん、双子を含む4人の6人家族
- 趣味:映画鑑賞
- 柔道を始めたキッカケ:父の影響
井上康生監督の妻、東原亜紀さんはスポーツキャスターやファッションモデルとして大忙し。とっても美人でキレイです!ネ

井上ご夫妻を見ているとこちらも幸せが伝わってきて心が穏やかになる感じがします。
それでは次に井上康生監督が伝説の名将柔道家と言われる理由を見ていきましょう。
井上康生監督伝説の名将といわれる理由
柔道を誰よりも愛する井上康生監督ですが、引退後、指導者の道に進もうと考えたときに「自分には社会勉強が足りないのではないか?」と思ったといいます。
そこで、自分自身を成長させたうえで次のステージに進みたいとと思い、JOCのスポーツ指導者海外研修員として2年間スコットランドへ留学することを決めました。
この留学の中で自分は「無知」であることを痛感し、知らないことが沢山あり人間としてはまだまだだということを改めて感じたようです。
留学での大きな収穫は「常に学び続けることの重要性」を学べたこと語っています。
詳しく語っている動画をご紹介します。ご覧ください。
井上康生監督指導者として気づいたこと
指導者になってみると、「自分の経験」や「過去の常識」が現役の選手たちに通用しないことに気づいたといいます。
十人十色という言葉通り、10人いれば性格も技術も全然違います。個々の選手に対して個々の対応をするようにしなければならないと考えるようになりました。
さらに、選手の力を引き出させる指導者になるには、自分自身が常に高みを目指していくことが重要であると気づいたと語っています。
井上康生さんが書いた本「改革」もすごく参考になります。是非お読みください。

井上康生監督選手と向き合った9年
2013年の海外合宿で感じたことは「練習に身が入らない。どこか覇気がない」と気の緩みが見えたといいます。
そんな現状の中、井上康生監督は怒るのではなく自分自身の経験を代表選手に話したといいます。
それは、「昨日まで元気だった大切な人を、いつ亡くすかわからない。一日一日を全力で生きてほしい」と選手たちに語ったのでした。
「大切な人を、いつ亡くすかわからない」という言葉にはある悲しい出来事がありました。
2020年シドニーオリンピックで金メダルを取った、前年2019年に最愛の母をクモ膜下出血で亡くします。
この体験は悲しみのどん底の中で亡き母と魂の対話をしたといいます。それは、「何で?何で突然居なくなるの?」「会いたい、会いたい」と心の中で叫んだといいます。
すると母の声で、「あなたの悲しみは体験しなければならない大事な事!必然なのだから、一日一日を最後の日であるかのように生きて、そうすれば神様は最高のプレゼントをくれるは!」というものでした。
驚きです。ですので監督になったときに先ほどような言葉が出たのでしょう。
また、かわりやすい言葉でどうすれば伝わるのか苦心したどり着いたのが次にご紹介する言葉です。
それでは見ていきましょう。次の3つの言葉を指導の軸にしました。
【3つの言葉】
- 自分が頂点に立つんだという「熱意」
- 逆風が吹いたときの「創意」
- 周囲の支えに感謝する「誠意」
代表選手たちはこの3つの言葉をちゃんと消化し日々の練習で意識していたようです。
そして、日本代表の選手たちには「スポーツ界を代表する存在になってほしい」と自覚を促し、移動時にはスーツの着用を義務付け、ひげを伸ばすことを禁じました。
井上康生監督は人間として選手達の「心」をつくったことが「名将」といわれる理由なのでしょう。
それでは、次に時期監督候補といわれております、鈴木桂治さんについて見ていきましょう。
鈴木桂治が後任監督最有力!とその理由
2004年アテネオリンピック100超級金メダルに輝いた鈴木桂治さんは現役時代、世界選手権を2度、全日本選手権を4度、アテネオリンピックと「3冠」を達成しています。
真ん中のグレーのシャツの男性が重量級担当コーチである鈴木桂治さんです。↓

- 生年月日:1980年6月3日
- 年齢:41歳
- 出身:茨木県常総市
- 身長:184cm
- 体重:100㎏
- 職業:日本柔道男子重量級担当コーチ、国士館大学体育学部教授
井上康生さんより2歳若いですね。
なぜ、鈴木桂治さんが最有力なのか見ていきましょう。
鈴木桂治世界の柔道強豪国を研究
鈴木桂治さんは4年前の2017年に「世界の柔道強豪国における国家的強化方針に関する研究」と題した論文を発表しています。
論文の目的は↓
本研究は、各国の柔道強化に関するマネジメント(グランドデザイン)と具体的な強化策を明らかにすることを目的とする。特に世界の強豪国の潮流とロシアの取り組みに着目することとした。
by:鈴木桂治論文より
ロシアをはじめとして10か国の強豪国を研究しその結果を詳しく述べていて、その中で、強化費、強化体制と指導者、年間スケジュールなど日本が強くなるために何が必要なのかを詳しく調べ上げ述べています。
論文をお読みになりたい方はこちらです。
鈴木桂治が考える指導者とは
鈴木桂治さんは「選手は選手」「指導者の分身ではない」と言います。
選手は鈴木桂治ではありません。進むべき方向が示されてアスリートは前に進める。当たり前ですが、熱くなりすぎるとついつい忘れて感情的になってしまいかねないのです。自分はこうしてきたんだ、これが正しいんだと押し付けるようなことはいけない。私はこうしてきたけど、君はどうしたの?だったら何をすべきだと思うの?と考えさせるようにしています。
by:Web Magazine
鈴木桂治さんが考える指導者とは、選手に正しい方向に考えを導くことであり「気づきを与える」ことができるひとのことをいいます。
自分の経験を押し付けないことや個々の選手の個性を活かす点では井上康生さんと似ているな~と感じました。
鈴木桂治24年パリオリンピックまで時間がない!
柔道全日本チームには井上康生監督の就任と同時に鈴木桂治さんのコーチとして就任しました。
今回の東京オリンピックでは100㎏級でウルフ・アロンが5大会ぶりの金メダルを獲得しまし、鈴木桂治さんの貢献も大きくさらに、全日本を知っている点も非常に大きいな代表監督選考の要因となるでしょう。
また、24年パリオリンピックまで3年しかありません。スムーズな移行を考えると鈴木桂治さんしかいないといえるのではないでしょうか。
まとめ
- 井上康生監督が名将と言われる理由:柔道の前に選手の心を作る
- 井上康生監督が感じたこと:「自分の経験」や「過去の常識」は通用しない
- 井上康生監督の言葉:1日1日を精いっぱい全力で生きる
- 後任の日本柔道男子監督候補:鈴木桂治さん
- 理由:柔道全日本チームに重量級コーチとして参加しているし、パリオリンピックまで3年しかなくスムーズな監督移行が重要になってくる。何より柔道指導力に定評がある。過去の指導実績も十分ある
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の日本柔道監督の後任候補については筆者の勝手な予想でございますのでよろしくお願い申し上げます。
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